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●『モナリザ』が人気なのは、「すばらしい芸術だから」…だよね?(2015年7月21日)

NPR Newsの2014/2/27が初耳場所)  なぜ、この記事? 実験方法が楽しくて、とても現実的だから。

 米国プリンストン大学社会学部のMatthew Salganik教授は、芸術作品の成功は、本当にそれがすばらしいからなのか、それとも偶然(chance)の結果なのかを調べようと思い…、実験をしたそう。つまり、誰かが「これ、いいよ」と言い始め、それがなぜか広がり、その作品が「すばらしい」ということになるのかどうか、ということ。一連の論文などが載ったサイトはこちら

 実験は以下の通り。まず、10代の人たち30,000人をネット上で集め、ネット上の9つの「パラレル・ワールド」に分けた(もちろん、人種や性別などは均等に配分=この手の実験の鉄則)。9つの「世界」は互いに交流しない。そして、それぞれの「世界」の住人に48曲の音楽を聞かせる。複数の、まだ市場に出ていない新しいバンドの曲なので、30,000人の若者はどの曲も知らない。聞き終わった後、気に入った曲をダウンロードしていい、というのが実験者と若者たちの間の約束。

 9つの「世界」のうち1つ(いわゆる「実験対照群=control group」)では、同じ世界にいる人たちがどの曲をダウンロードしたのか、まったくわからない。つまり、一人ひとりが好きにふるまっている状態。他の8つの「世界」では、どの曲がこれまでにダウンロードされたかを知ることができる。つまり、「人気」が作品の質によるのであれば、まったく同じ条件の9つの「世界」すべてで、48曲は似たようなランキングになるはず。

 ところが(もちろん!)、そうはならず…。ある「世界」でランキング1位になった曲が、別の「世界」では48曲中40位。実験がスタートした時点のほんのわずかな違いが、「世界」の中の人たちの相互影響(social influence)を通じて大きく広がり…、まったく違う「人気ランキング」を生み出した、というわけ。

 Salganik教授たちは、関連する次の研究で、作品の「質」が人気に占める役割は限られているということを量的に示している(上のウェブサイト)。もちろん、とんでもなく質の低いものは、偶然の力も借りられないが、ある程度の質の基準を満たしていれば、後はかなりの部分が「偶然(chance)」によるものだということ。

 NPR Newsで、Salganik教授が最後に言っている言葉がふるっている。"I think that if you believe that there's a large role for chance in the outcomes that people have and the kinds of success that people have and also the kinds of failures that people have, it changes how you treat other people." 確かに。人生の成功や失敗が、偶然(chance)にもよるものだと理解するなら、他の人(成功した人、失敗した人)を見る目、他の人たちへの接し方は変わるはず。



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